「なぜ今、オットーか」の答えは以下の通りだ。

歴史には多くの偉大な人物、預言者が出現したが、彼らの共通点は、人を見る能力と共に、時代の動向を読み取る霊性を持っていたことだ。オットー・ハプスブルクはプーチン氏の登場に誰よりも先駆けて警告を発していたのだ。プーチン氏と何度も会見し、16年間政権を担っていたメルケル独首相(当時)にはなかった能力を有していたのだ。

無神論世界観を標榜して共産主義が出現した時、ローマ・カトリック教会を含む世界のキリスト教会は共産主義の正体を見誤り、共産主義の世界観に地上の天国が築かれる、といった淡い期待と幻想を感じていた。キリスト教会を含む宗教指導者たちが共産主義の正体を知ったのはずっと後になってからだ。

ところで、プーチン氏がその悪行を実行する前にオットー・ハプスブルクを通じて警告が発せられていた。しかし、時代はハプスブルクの警告をシリアスに受け取らなかったばかりか、無視した。そして世界は多くの犠牲を払った後、プーチン氏の正体を知ったわけだ。

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編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。