VOC分析を行うときの課題・注意点

VOC分析を行うことで、商品・サービスの改善やブランディングを効率的に進められるでしょう。しかし、VOC分析の課題や注意点を知らないとなかなか効果が得られないばかりか、逆効果になってしまうこともありえます。


本VOC分析を行うときの課題・注意点


  • 顧客の声を鵜呑みにしない
  • 調査チャネルが1つ、もしくは偏っている
  • 分析結果を具体的な施策に活かせない



顧客の声を鵜呑みにしない

VOC分析で集めた顧客の声を、鵜呑みにするのは危険です。特に、アンケート調査で集めたVOCは慎重に分析しなければなりません。顧客には、顧客自身も気づいていない本音(顧客インサイト / 潜在的なニーズ)があるからです。

たとえばファストフード大手のマクドナルドは、新メニューを開発するためにアンケート調査を行いました。アンケートには「健康的なメニューがほしい」「サラダメニューがほしい」という意見が多く集まり、マクドナルドは新メニュー・サラダマックを発売しましたが、期待された売れ行きにはなりませんでした。

当時は空前の健康ブームでもあり、ヘルシーメニューは一見人気になりそうです。しかし、ヘルシーさを求めている人はマクドナルドではなく、別の飲食店を利用することが多いもの。顧客は心の底で、マクドナルドに「ジャンクさ」を求めているはずです。

顧客の声を参考にするのは大切ですが、その奥にある本音、自社への潜在的なニーズを考えることも忘れてはいけません。

調査チャネルが1つ、もしくは偏っている

VOCを集めるチャネルが1つ、もしくは「SNSからのデータが極端に多い」のような偏りがあるのは良くありません。各チャネルにはそれぞれ次のような特徴があり、利用者層も異なります。チャネルに偏りがあると、特定の層の意見だけをもとに商品・サービス改善をすることになり、それ以外の層からの不満につながるかもしれません。


チャネル

特徴

SNS

匿名性が高いため顧客の本音を集めやすいが、ネガティブな投稿の方が拡散されやすい傾向にある。

意識的にポジティブな投稿を探す、ネガティブな投稿を鵜呑みにしないなどの工夫が必要。

レビューサイト

レビューはあくまで個人の主観であり、投稿時の気分で評価や口コミの内容が左右されることもある。

商品・サービスが気に入り応援の気持ちで高評価を付ける人、「配送が雑」など商品とは関係のない部分で低評価を付ける人もいる。

このような両極端なレビューもあることを念頭に置く。

アンケート調査

時間と手間をかけてアンケートに答えてくれるという時点で、自社を応援する気持ちがあると考えられる。

また、5段階評価や10段階評価では3や6などの中央値が選ばれやすく、定数的なデータがあまり参考にならないことも。

コンタクトセンター

コンタクトセンターは主に問い合わせやクレームなどの窓口であるため、集まるVOCもネガティブ寄り。

課題や改善点を見つけるのには適しているが、USPの確立にはあまり適さない。

分析結果を具体的な施策に活かせない

VOC分析に限らず、あらゆる分析手法は商品・サービスの改善や施策立案などのために行うものです。「商品改善」「USPの確立」などの目的を決めること、分析結果を具体的な改善策や施策に活かすことが大切です。