エンゲル係数が高いほど貧しいという理論があるが、見栄のコストが高いほど貧しい理論も存在するのではないだろうか。すべては承認欲求の欠乏症が招くコストだ。貧しい間に見栄を捨てる方法は簡単。なるべく一人で過ごすことだ。勉強や仕事を頑張ればいい。そうすれば見せびらかす相手がいないので、見栄のコストを削減できる。

プライド

貧しいほど自分をよく見せるプライドが強いことは前述の通りだ。このムダに高いプライドは仕事にも影響する。

自分もそうだったのだが、貧しい時期ほどプライドが高くて単純作業や体力仕事を割り当てられると「バカにされた」「こんな泥臭い仕事したくない」とバカにされた気がしてしまうのだ。それがいやなら派遣やバイトを止めればいいのだが、その実力も抜け出す行動力もない。この状況が続けばプライドだけが高くなっていき、いざ鉄火場でがむしゃらに働かなければいけない局面でもプライドがじゃまをして必要な仕事ができなくなるのだ。

自分はサラリーマン時代は東証一部上場企業で働き、東大卒や海外MBAホルダーといったエリートと働いていたが、独立で一気に環境が変化した。地方移住するとそもそも大卒の割合が低いし、付き合う経営者や取引先も叩き上げばかりだ。最初は戸惑った。

しかし、プライドは捨てた。独立とは、社会的信用が一度ゼロになってしまうことを意味する。今では向こうから仕事が来てそれを選ぶ立場になれたが、最初の持たざるものだった頃はどんな仕事でもえり好みせず、明日を生きるために感謝してやるしかない。それが独立初期の現実である。

貧しい時期ほどプライドを捨てることは難しい。それを捨てたら最後、自分の手元に価値あるものなんて何一つなくなってしまうと考えるからだ。しかし、プライドではおまんまは食えぬという言葉の通り、まずプライドを捨ててがむしゃらに頑張ることがファーストステップである。

思い込み

最後は「自分の運命は強固で抗えないもの」という思い込みを捨てることだ。