報告によると、患者さんはオートミールを食べた30分後に全身に紅斑が現れ、下痢や嘔吐が起こり始めたという。

来院時には他に、頻脈(ひんみゃく:脈拍数が異常に多い状態)や口元のチアノーゼ(酸素不足で皮膚が青っぽく変色する症状)が見られたことから、アナフィラキシー反応を起こしていると診断されました。

医療チームは原因を特定するため、患者さんのアレルギー反応を調べましたが、新品のオートミールでは陽性反応が出ませんでした。

となるとオートミールを食べたこと自体が問題ではないことになります。

そこで患者さんが実際に食べたオートミールを顕微鏡で観察した結果、「ヒラタチャタテ」の混入が確認されたのです。

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ヒラタチャタテによるアレルギー反応(左)とオートミールに混入したもの(右)/ Credit: 東邦大学 – オートミールに混入したヒラタチャタテの摂取によるアナフィラキシーの症例を日本で初めて報告(2024)

ヒラタチャタテ(学名:Liposcelis bostrychophila)は室内環境において最もよく見つかる小さな虫で、日本全国にいます。

体長は1ミリ弱で、穀物やカビなどの餌があり、適度な温度と多湿の条件が揃うと、大量に繁殖します。

ヒラタチャタテはどこにでもいる平凡な虫であり、これまでは何らかのアレルギー反応を起こす「アレルゲン(抗原)」としてはほとんど注目されてきませんでした。

ところがチームが新たに調べたところ、ヒラタチャタテにのみ特異的に存在すると見られる抗原「Lip b 1」を検出。

さらに患者さんの血液を調べると、Lip b 1と結びつくIgE抗体が見つかったことから、今回のケースは「オートミールに混入したヒラタチャタテの経口摂取がアナフィラキシーの原因である」と結論づけられたのです。

この症例は日本国内では初となりますが、海外では2例が確認されています。

いずれも同じくオートミールに混入していたことから、チームはヒラタチャタテの誤食で生じるアレルギー反応を新たに「オートミール症候群」という名称で呼ぶことを提唱しました。

「オートミール症候群」を防ぐには?