私は今まで長く国会に議席をいただいて、中曽根総理から現在の安倍総理に至るまでの総理総裁を見てきましたが、その中でも現在の安倍総理のアプローチはかなり異質ではあると思います。ただそれは、安倍先生が総理になって突如としてそうなったのではありません。安倍先生は小泉純一郎内閣で官房副長官だった当時、山口新聞のインタビューで『野党に親切である必要は全くない。ケンカ腰でやるくらいの方が国民に対して誠実だ』と答えられています。つまり、安倍総理はもともとそういうスタイルであり、それを総理になってからもずっと踏襲されているのだと思います。

筆者は偶さか3月14日の『小西vs横畠:両方カッコ悪かった』で野党議員の喧嘩腰を難じたので、あらまっ、と。筆者は安倍総理が異質の喧嘩腰と思わないし、昔はバカヤロー解散した方さえいた。総理は声を荒らげる訳でもなく暴言を吐く訳でもないが、類い稀な皮肉屋とでもいおうか、揚げ足の取り様に棘があるので相手が余計癪に障るのだろう。が、あれを喧嘩腰とは普通は言わない。

「北方領土など」

先生はこのインタビューで北方領土返還交渉について以下のように述べ、また2月16日の本サイトの『北方領土など』でも同様の趣旨を述べておられる。

日ソ中立条約、ヤルタ協定、ポツダム宣言、サンフランシスコ条約、この4つを国際法的に正しく理解すれば、日本が主張すべき領土が「四島」であるのは当然です。ですから日本は、「ソ連の継承国であるロシアの主張は、国際法的に見て間違いである」と主張しなければなりません。「四島返還断念」などはもちろん安倍総理もまったくお考えになっていないと思いますが、法的根拠を踏まえない交渉だと思わせることのないよう、留意が必要です。

この問題でも偶さか筆者は先生の文章を全く知らず2月18日に『台湾と千島、その法的地位』を投稿した。先生は「この4つを国際法的に正しく理解すれば、日本が主張すべき領土が「四島」であるのは当然」と述べられる。が、筆者の考えは少し異なる。