すると照射を受けた側の小石の表面が瞬間的な蒸発し、膨張したガスはロケット噴射のように小石を押し出し、石英は時速250㎞(毎秒69.6m)、シリカは時速253㎞(毎秒70.3m)まで加速されたことがわかりました。

強力なX線が照射された部分が一瞬で気化され、その圧力に押される形で残った固形部分が飛んでいったわけです。

研究者たちは、この技術を大規模化していけば、最終的に直径4㎞の小惑星の軌道を逸らすことができると述べています。

ただそこまでいくと、核ミサイルを使うよりも巨大なX線照射砲を使ったほうが安上がりのような気もします。

研究者たちはNASAが人工衛星を小惑星に衝突させたダートミッションのように、実際の小惑星を使ったテストを行いたいと述べています。

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参考文献

Proof-of-concept study uses X-rays to target mock-up asteroids in a vacuum
https://phys.org/news/2024-09-proof-concept-rays-mock-asteroids.html

元論文

Simulation of asteroid deflection with a megajoule-class X-ray pulse
https://doi.org/10.1038/s41567-024-02633-7

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部