熱でどうにかなるようです。
アメリカのサンディア国立研究所(SNL)で行われた研究により、核爆発が小惑星の進路を十分に逸らす力がある可能性が示されました。
真空である宇宙空間での核爆発は、物体を空気の力で物理的に押す「衝撃波」が発生しないため、小惑星に対してはしばしば無力だと考えられていました。
しかし新たな研究では、核爆発を模した強力な放射線を岩石に照射したところ、岩石が時速250㎞(秒速70m)まで急加速したこと判明します。
実験で使用された放射線そのものに、物体を押す力は極わずかです。
なのにどうして岩石は一瞬で時速250㎞に達したのでしょうか?
研究内容の詳細は2024年9月23日に『Nature Physics』にて発表されました。
目次
- 宇宙空間の核兵器は敵を熱するだけ?
- 放射線を照射すると小石が時速250㎞で飛んでいった
宇宙空間の核兵器は敵を熱するだけ?
SF作品などでは、地球に降下してきたエイリアン軍に向けて人類側が「核ミサイル」を発射するシーンが描かれます。
現在の人類にとって核は最強の兵器の代名詞でもあり、物語によっては都市住民を犠牲にした核攻撃により、敵地上軍の侵攻を食い止めるシーンなども描かれます。
あるいは、全く効果がなく、絶望が加速する演出にもつながります。
地上での核使用はSFにとって、ある意味でハイライトであり、その後の物語の流れを変える重要な要素になり得ます。
しかし舞台が地上ではなく宇宙になると、核兵器に当たるスポットライトの数は急減します。
さらに物知り顔の観客の中には「宇宙で核なんて意味ない」という人も出てきます。
この言葉はある意味では真実です。
地上で核兵器が絶大な破壊力を誇るのは、空気による衝撃波によるところが大きいからです。
空気がない宇宙空間では、敵をなぎ倒すような衝撃波はうまれず、発生するのは熱や放射線などに限定されてしまいます。