■事件
当時、生活指導教師だったジョセフ・ウルフ氏は、「騒ぎは突然始まった」と回想する。
25日の午後、彼が校庭を歩いている時、建物から今までに聞いたことのない叫び声が聞こえてきた。上を見上げると、2階から1人の男子生徒が窓を突き破って落下し、スクールバスの屋根に落下した。信じられないことに、男子生徒は立ち上がってバスの屋根からも飛び降りた。
ウルフ氏は、「私は彼を押さえようとしました。すると突然、彼は映画『エクソシスト』のように180度頭を回転させ、低い声で『手を放せ』と言いました」と語る。少年の目は充血し、顔は血まみれで、恐れをなしたウルフ氏が手を離すと、少年は飛ぶように走り去ったということだ。
その後、ウルフ氏は少年が飛び降りたと思われる教室に急行した。その部屋には2人の生徒がいて、彼らはウィジャボードの前に座っていた。彼らはただウィジャボードを見物していただけで、交霊術はしていないと説明した。
彼はこの2人の生徒を家に送り届けることにしたが、一部始終を目撃したある女子生徒が怖がったので、彼らは夜まで女子生徒の家に留まった。すると家中の電灯が突然消え、真っ暗になり、テレビが点滅しだした。ドアがばたんと閉まり、彼らは部屋の中に閉じ込められてしまった。
暗闇の中で男子生徒は、自分たちがウィジャボードで交霊術をしていたことを告白したという。ウルフ氏は、その生徒たちに何かが憑いたのだと感じた。
ウルフ氏はその場からは何とか逃れたが、他の多くの学校スタッフがそうしたように、すぐさま学校を辞めた。その後、その生徒たちがどうなったかはまったくわからないと話す。
騒動の時に、学校から緊急通報を受け駆けつけたマイアミ消防局のダン・ルメイ消防士も、窓を破り、血まみれになった少年を見ている。そして、生徒たちは「何かが彼に憑依した」と話していたという。
ルメイ消防士は、学校でヒステリーが「ドミノ効果のように」広がったという見解を述べている。しかし一方、何か悪魔的な力が働いていたと話す人もいる。
英語教師であったイラナ・ヴィシエド氏も、その場で学校を辞めた。そして、窓から飛び降りた男子生徒だけではなく、女子生徒たちも正気を失ったように魔女について叫んでいたのを聞いたと、記者たちに語った。
一方、マリーナ校長の関心は生徒ではなく、自分の政治的なキャリアであった。彼は、悪魔や超自然的な力によって学校で騒動が起きたわけではないと否定した。彼は、マイアミ市議会に立候補していたが、「選挙が近くなってきたので、誰かが私を陥れようとしているのだ」と記者に話したほどだ。
しかし校長の否定をよそに、悪魔憑きの噂は親の間で広まり、多くの学生がその週に学校を退学した。
学校はすぐさま財政難に陥り、マリーナ校長の政治的な野心も挫折した。その後、当局の調査が入り、この学校は無認可校で、教師には免許がないこともわかった。1989年、さまざまなスキャンダルに陥った学校は、その門を閉ざした。