同社は南アフリカ、モロッコ、ケニアで事業を展開している。2012年の創業以来の累計調達額は4,000万ドルを超えており、2022年のシリーズBラウンドでは2,700万ドルを調達した。
チュニジアで事業を展開する仏スタートアップSeabexは、衛星画像を用いて農産物の生育状況に関する指標を算出したうえで、それに応じた灌漑に関する農家へのアドバイスをモバイルアプリで提供している。農家は農地の区画数に応じたサブスクリプション料金を支払う。同社によれば、このアプリを利用することで、農家は水の使用量を平均30%削減し、農作物の収量を平均20%増やすことができるという。これまでに5万ヘクタール以上の農地の管理に使われてきた。
Seabexは2024年にシードラウンドでの資金調達 を行っており、調達資金はチームの拡大とAIによる分析機能の強化に費やすとしている。
タンザニアのMazao Hubは、小規模農家向けの土壌分析サービスを提供している。農家は専用のスキャナーで土壌データを収集した後、AI搭載のプラットフォームで土壌の肥沃度を分析したうえで、栽培に適した作物、施肥のタイミングや量に関するアドバイスを携帯電話で受け取ることができる。小規模農家でも利用できる手頃な価格が特徴で、これまでに8万件以上の土壌分析を実施してきた。2024年にMazao Hubは20万ドルを調達している。
アフリカ企業による精密農業機器の製造も始まる
精密農業向けの機器を製造するアフリカ企業も誕生している。
エジプトのSi-Ware Systemsは成分測定のためのユニークセンサーを開発する、いわゆるディープテックスタートアップだ。同社のセンサーを使うと、土壌診断による必要な栄養素の判断や、収穫時の農産物の品質測定が行える。累計調達額は1,900万ドルで、2021年には900万ドル近くを調達している。
南アフリカのAquaCheckは、土壌の水分量や温度を測定するセンサーと灌漑管理用ソフトウェアをセットで提供している。センサーは南アフリカ国内の工場で製造している。ソフトウェアでは、センサーで取得した土壌のデータにもとづき、農家が最適な灌漑農業を行うためのアドバイスを作成する。