需給改善指示実績に見る再生可能エネルギーの価値
ヨーロッパなどでは、再生可能エネルギーの発電が過剰になった時間帯で電力の市場価格がゼロやマイナスになる時間帯が発生しています。
これは市場原理が正常に機能した結果で、電力の価格を下げるために歓迎すべきことではないかという論調も一部に見られますが、はたしてそうでしょうか?
1. 電力広域的運営推進機関(OCCTO)の需給状況改善指示日本には、北海道電力から沖縄電力まで10の電力会社(一般送配電事業者)があり、基本的には、それぞれ域内の需要と供給のバランスを確保しています。また沖縄電力を除く9社は全て「連係線」と呼ばれる送電線でつながっており、相互に電力を融通できるようになっています。
この融通にはいくつかの種類がありますが、ここでは、突然の気温変化による予想を上回る需要の増加や、発電所のトラブルなどによる供給力の大幅な減少により、計画的に用意していた供給力では需要がまかなえない時に、緊急的に国の組織である「電力広域的運営推進機関(OCCTO)」の「需給状況改善指示」で強制的に余力のある電力会社から応援される融通を見てみます。
こう書くと国の組織が積極的にコントロールしているように見えますが、OCCTOが発電機をコントロールしている訳ではありませんから、実際には各社からあらかじめ応援可能な電力量を出してもらっておいて、応援の申し出があったときに、OCCTOがどこの会社から応援させるか、割り振りをしているだけにすぎません。
余談ですが、この仕組みは電力自由化前のOCCTOが中央給電連絡指令所と呼ばれていたころからやっている仕組みで、自由化前は「随時協調電力の斡旋」と呼んでいたものが、自由化後は「需給状況改善指示」という呼び方に変わっただけで、各電力会社が自主的に行ってきた相互応援の仕組みを国が横取りしたようにも見えます。