今回は、セント・アブス海洋ステーションにある実験用水槽を用い、4000個以上のカニとロブスターの卵を、海底ケーブルから発されるのと同レベルの電磁波にさらしました。
それと並行して、電磁波をまったく照射しないカニとロブスターの卵(比較群)も用意しています。
電磁波による「奇形」のせいでロブスターが「カナヅチ」に
この実験では、卵から幼生になるまでの成長を数カ月にわたって追跡し、最終的には遊泳テストも行いました。
その結果、電磁波にさらされたカニとロブスターの幼生は、ともに比較群より小さくなっていたのですが、ロブスターの方がより強い悪影響を受けることがわかりました。
垂直方向の遊泳テストで、水槽の底から餌を得るために水面まで浮上できるかを調査した場合、電磁波を浴びたロブスターの赤ちゃんは、浴びなかった個体に比べ、3倍近くもテストに不合格になり、水面まで到達できなかったのです。
さらに、それらのロブスターは、奇形になるリスクも3倍高くなっていました。
最も多く見られた奇形は、体の全体的な縮小と、尾の部分の折れ曲がりです。
泳ぎが下手になっていたのは、これらが原因と見られます。
また、目の発達が乱れていたり、体がパンパンに腫れ上がる症状も確認されました。
一方、カニの赤ちゃんにも多少の縮小は見られましたが、遊泳に支障をきたすレベルにはありませんでした。
セント・アブス海洋ステーションのペトラ・ハーサニ(Petra Harsanyi)氏は「カニの縮小は、ロブスターのように、すぐに影響の出るものではなかったが、発育に問題があることを示している」と指摘。