洋上風力発電のために敷設された電力ケーブルが、海底のカニを惹きつけ、移動習性に悪影響を与えている、というニュースがありましたが、海底ケーブルの及ぼす影響はそれだけではなかったようです。

2022年に報告された英国のヘリオット・ワット大学(Heriot-Watt University)、セント・アブス海洋ステーション(St Abbs Marine Station)の共同研究で、海底ケーブルの電磁場にさらされたロブスターの赤ちゃんは「カナヅチ」になることが新たに判明しました。

また、何らかのかたちで奇形になるリスクも3倍高くなったとのことです。

研究の詳細は、2022年4月21日付で科学雑誌『Journal of Marine Science and Engineering』に掲載されています。

 

目次

  • 海底ケーブルが海の生物に与える影響
  • 電磁波による「奇形」のせいでロブスターが「カナヅチ」に

海底ケーブルが海の生物に与える影響

海底ケーブルがエビをカナヅチにしていました。※エビのなかで大型で歩行性のものがロブスターになります
海底ケーブルがエビをカナヅチにしていました。※エビのなかで大型で歩行性のものがロブスターになります / Credit: ナゾロジー 編集部

研究チームはこれまで、洋上風力発電所のための海底送電網が、カニやロブスターといった商業的に重要な生き物に、どんな影響を与えているか調査してきました。

その中で判明したのが、先に述べた「カニの電気中毒」です。