同じ菌に対して同じ量のエサを与えた場合、普通なら同じ結果になりそうなものです。
しかし実際は、菌糸束が多く接続しているエサほと分解が進んでいることが判明。
さらに円型の菌たちはX型の菌たちよりもエサを多く分解していることもわかりました。
この結果は、図形の形状の違いが、菌たちのネットワークの活性に違いを生んでいることを示します。
研究者たちは「図形の違いによって脳で活性化する神経ネットワークが違う」現象は「図形の違いによって菌のネットワーク活性が異なる」現象と似ている可能性があると述べています。
またそのように解釈すれば「菌類の菌糸体は図形を識別できると言える」と結論しています。
では、菌類のネットワークがより複雑化してゆけば、AIのように高度な情報処理ができたり、人間のような意識が持てるのでしょうか?
これまでの研究により、菌類の細胞表面に存在するイオンの通り道(イオンチャンネル)が、菌糸内での電気信号の伝達を行っており、菌類が学習するための神経回路のように機能している可能性が報告されています。
そのため菌類のネットワークの複雑さが一定の閾値を超えれば、理論的には、脳のように機能することも可能なハズです。
この点について研究者たちは、実験結果は菌たちが意識を持っていることを示してはいないと述べています。
というのも、認知が行われるプロセスは意識のプロセスとは独立して機能しているからです。
図形の認識のような機能は、意識が働いていようが働いていまいが自動的に行われることが知られています。
ただ菌類の認知機能を理解することができれば、脳を持たない生物たちの原始的な知能を知るにあたり大きな手助けになるでしょう。
研究者たちは菌類の知的行動のメカニズムを解明できれば、菌類を使った生物コンピューターの開発につながる可能性があると述べています。