だがコスパ厨はとにかく出費を抑えることしか考えていない。その証拠に彼らは買い物をする時に低価格のものを異様に高く評価する。独立して頑張って稼ぐ方がケチケチ生活するよりトータルリターンが明らかに高いのに、そこには目を向けずパフォーマンスを無視する矛盾を抱えている。

彼らがやりたいのはパフォーマンスを高めることではなく、コストを下げることだけだ。それこそが「ケチること以外に人生で特にやりたいことがない」から来ている行動なのである。

コスパ厨はトータルリターンを考えない

コスパ厨になる2つ目の理由は、彼らがトータルリターンを考えないからだ。

本来、コスパという言葉は「コストとパフォーマンスの良いバランス」ということである。だから安くてもパフォーマンスが悪ければそれはコスパが悪いということになるし、仮にコストが高めでもパフォーマンスもそれ以上に高ければ同様である。だがコスパ厨の過ちはコストしか見ないことでパフォーマンスも下げてしまっている。

たとえば「とにかく1円でも旅行を安く済ませたい」という人は一定数いる。個人旅行なら好きにすればいいが、団体旅行でこれをやられると一緒にいて興ざめしてしまう。昔、一緒に旅行に行った友人でコスパ厨がいて対応に困ってしまったことがあった。せっかくめったにいかない旅行先に行くのだから、多少割高でも食事を楽しみたいと思っても「高いから」とコンビニのパンで済ませ、みんなでホテルに行く中、車中泊で済ませる。

確かにコストを抑えて観光地巡りという目的を最大化できるかもしれない。しかし、旅行の醍醐味は観光地で過ごす時間だけでなく、宿泊先での食事や語り明かす時間だと思うのだ。そこを削ると、思い出というパフォーマンスまで落とせば単なる「移動」と「食事」のための行為になる。そうなればトータルリターンは著しく下がる。でも彼らが気に留めないところを見るに、ケチる快感が旅本来の楽しさを上回ってしまい、「こんなにお金使ってもったいない」と旅行を楽しむ感度が著しく低下しているのだろう。