サービス残業は基本的に「なし」

 高収入の総合商社社員だが、激務に耐えなければならないという声も聞かれるが、実際にはどうなのか。

「部署によります。比較的激務だとされる事業投資の部署の場合、扱う金額が大きく、社内外の関係するステークホルダーの数も多く、役員決裁を得るための申請書類を作成して社内申請を通したり、社外の取引先との契約書を何十種類も作成して締結にこぎつけなければならなかったりするので、忙しい月は残業が100時間を超えることもあります。今はどこの総合商社もサービス残業は厳しく禁止されており、残業代は1分単位で申請するかたちが一般的なので、基本的には働いた分だけ残業代は支払われます。ただ、月100時間を大きく超えると問題になるので、実態より少なく申請するということはあります」

「ウチは若手の担当者で月の平均残業時間が50時間くらいで、たまに80時間を超える月もあって年収は1400万円くらいです」

「商社なので海外とのやりとりも多いため、かつては時差の関係で深夜残業は当たり前で、海外出張から帰国して空港から会社に直行して仕事をするということもあったが、今は早朝出勤の推奨とセットで原則20時以降の勤務は禁止されており、職場関係の飲み会だけでなく社外の取引先との会食も22時以降は完全に禁止されている。基本的には土日もしっかりと休めるので、仕事はラクではないがかなりホワイトにはなった。ただ海外の駐在員は国によっては、かなり大変で危険も多い。例えば、ある国で新たな事業を拡大させるにあたり『ウチの会社は20時以降は働かないし、土日も働きません』と言ったところで通用しないし、『だったら、もう付き合わない』と言われればそれまでとなる」(40代・伊藤忠社員)