サルの目が民主主義の根幹を暴きました。

アメリカのペンシルバニア大学(Penn)で行われた研究により、マカクザルは選挙で負けた候補者の顔を、より長く見つめる習性があることが示されました。

発表された論文のタイトルも「サルが米国選挙を予測する」という強気なものとなっています。

研究では過去に行われた273回の選挙の候補者の顔写真が使われており、サルたちは敗者を偶然よりも高い精度で長く見つめました。

またサルによる判定は浮動票が多い激戦区ほど精度が高くなることも明らかになりました。

研究者たちは「サルたちは純粋に写真に基づいて何かを感知している」と述べています。

またサルが人間の選挙結果を予測できるという結果は、サルが判断基準に用いる心理システムが種を超えて人間にも保存されている可能性を示しています。

しかし、サルたちはいったいどんな理由で「負け候補者」をじっと見つめるのでしょうか?

研究内容の詳細は2024年9月19日にプレプリントサーバーである『bioRxiv』にて公開されました。

目次

  • サルは選挙で負けた人の顔をより長く見つめる
  • サルたちは人間のアゴを見ていた

サルは選挙で負けた人の顔をより長く見つめる

選挙ではしばしば非合理な結果に至ります。

たとえば政治や経済について専門的な知識を持つ候補者よりも「顔がいい人」を選んでしまうことがあります。

積み重ねられた研究は、このような非合理な選挙結果が起こる要因として、候補者の持つ「外見」が重要な役割を果たしていることを示しています。

優秀な政治家としての能力を持つ候補者が、外見に敗北してしまうのは、選挙においてある種の「顔採用」のような現象が起きていることを示しています。

候補者の主義主張、能力、実績、清廉などに基づく判断は民主主義を機能させる根幹であり、投票者もそのことはわかっているはずです。

にもかかわらず、なぜこのような非合理が起きてしまうのでしょうか?