■一途な甘えん坊は変わらない
さて、卒業から1年が経ったちるは、スタッフの目からはどのように映るのだろうか。
かつてを知るスタッフからは「当時と比べて、人見知りはなくなったようです!」「お店にいるときは、慣れた人以外にはぴゃーっと逃げていたので、初めましてのスタッフでも触らせてくれることにとても驚きました」とのコメントが。
現在は散歩の際に「行きつけの店」ができるなど、多くの人に撫でてもらい、オヤツをもらい、愛情を注いでもらっているため、だいぶ人慣れしてきたのかもしれない。
「毛並みも良くなり、おハゲが無くなっていて驚きました」と口にするスタッフからは、「当時から変わっていない部分としては『好きな人に一途すぎて、依存しているところは変わっていないな』と、先日ご来店頂いたときに感じました」とのひと言も。
実際、本取材に当たって店舗を訪れた際、ちるは別室で待機させていたのだが終始、窓ガラス越しにこちらをガン見している有様であった。
こうした「卒業犬」たちの近況を知ることについて、Petfelice担当者は「里親様から様々な場所に行ったご報告や、できるようになったことを共有して頂けると『良いお家に行けて良かったな』と、とても嬉しく思います」と笑顔を浮かべる。
継続してトリミングやペットホテル、トレーニングや里親会イベント(クリスマス会など)に足を運んでもらい、卒業犬たちと直接触れ合える瞬間も喜びを感じるそうだ。
また、担当者は「久しぶりに会っても覚えていてくれて、尻尾ぶんぶんしてくれる姿も嬉しいですが、お店にいるときに懐いていた子が自分に対して少し人見知りをして、飼い主さんにべったりな姿も、少し寂しいながら嬉しさもあります(笑)」と、全ての犬好きが共感するであろうエピソードを明かしてくれた。
ちるが保護犬であると知ると、多くの人が「優しい飼い主さんに会えて良かったね!」と、温かい声を向けてくれる。この言葉は非常に光栄なのだが…保護犬を迎えた身としては、若干モヤモヤを覚える箇所も。
それは、自分だけが犬に何かを「あげている」のでなく、同様か、それ以上に多くのものを犬から「もらっている」という点。本心としては、こちらが「うちの子になってくれてありがとう!」と、五体投地で感謝したいくらいだ。
また保護犬を迎える上で注意したいのが「自分は親切なことをしている」という、過ぎた思い上がり。「ペットショップから犬を迎えた飼い主を下に見る」などのマウントは無益であるばかりでなく、保護犬に対して悪いイメージが蔓延する恐れすらあるだろう。
本記事をきっかけに、1匹でも多くの保護犬が「我が家」と出会えれば、それは何よりも光栄である。