前半24分にはC大阪MF田中駿汰(ボランチ)のロングパスに反応したレオ・セアラが湘南最終ラインの背後を突き、ゴールゲット。ここでは味方センターバック付近でボールを受けた田中駿汰への湘南FW鈴木章斗の寄せが緩く、それゆえ簡単にロングボールを繰り出されている。パスの出し手にプレスがかかっていないにも関わらず、湘南最終ラインの位置取りが高かったため、レオ・セアラの突破も許してしまった。


平岡大陽 写真:Getty Images

悔やまれる1失点目

湘南は今節も攻撃配置の悪さから失点を喫したものの、試合序盤以外にも自陣後方からのパス回しに成功したシーンがあった。

この最たる例が、前半29分の攻撃シーン。自陣ペナルティエリア手前で鈴木淳之介がボールを受けると同時に、ウイングバックの畑が自陣へ降りる。ここで鈴木淳之介が畑にパスを出すと思いきや、同選手は左サイドを駆け上がった平岡へのロングパスを選択。この場面ではC大阪の右サイドバック奥田が畑を捕まえるべく飛び出していたため、同選手の背後が空く形に。ここへ走った平岡が鈴木淳之介のロングパスを受けたことで、湘南の速攻が始まった。

センターバックが自陣へ降りてきたウイングバックへパスを出すと見せかけ、その奥のインサイドハーフへロングボールを送る。この攻撃は湘南が最終スコア2-1で勝利したJ1リーグ第12節(サガン鳥栖戦)でも繰り出されたものであり、この試合では湘南DF大野和成(センターバック)がウイングバックの畑へパスを出すと見せかけ、平岡へロングパスを供給。ここから阿部の決勝ゴールが生まれている。今節のC大阪戦では得点に結びつかなかったが、鳥栖戦と同じくウイングバックを囮(おとり)とする攻撃を繰り出せたことは、湘南にとってポジティブな要素と言えるだろう。良い攻撃もできていただけに、センターバックからウイングバックへのパスを奪われたことで喫した今節の1失点目は悔やまれる。湘南としてはこの失敗を糧にしたいところだ。