湘南のサイド攻撃を浴び続けたC大阪は、前半5分に北野が放ったロングシュートを機に最前線からの守備を立て直す。この直後に湘南が3センターバックを起点にパスを繋ぐと、北野、レオ・セアラ、MF為田大貴(左サイドハーフ)の3人がここに立ちはだかる。湘南最終ラインとの3対3の数的同数を作ると、味方DF髙橋直也のパスをタッチライン際で受けた湘南MF鈴木雄斗(右ウイングバック)には、C大阪のDF舩木翔(左サイドバック)がプレスをかけた。
この場面では鈴木雄斗が相手サイドハーフやサイドバックのプレスを浴びやすい立ち位置をとっていたが、ツータッチでC大阪の最終ライン背後へロングボールを送ったため大事には至らず。C大阪のハイプレスに対する、湘南の選手たちの状況判断も試合序盤は的確だった。
湘南が犯したミスとは
前半12分、MF阿部浩之による右サイドからのフリーキックにFW鈴木章斗がヘディングで合わせ、湘南に先制点をもたらす。ホームチームは幸先の良いスタートを切ったものの、ひとつのミスでC大阪に試合の主導権を渡してしまった。
迎えた前半21分、センターバック鈴木淳之介から左ウイングバック畑への縦パスをL・フェルナンデスにカットされる。そのままL・フェルナンデスに左サイド(C大阪にとって右サイド)を突破されると、同選手のラストパスに反応したレオ・セアラに同点ゴールを奪われてしまった。
この場面ではセンターバック鈴木淳之介とウイングバックの畑が自陣後方タッチライン際で追いつめられたうえ、この2人が一直線に並んでしまったことでパスコースが無くなっている。3バックの一角がペナルティエリアの横幅からはみ出し、なおかつウイングバックが自陣後方タッチライン際に立った状態でショートパスを繋ごうとした結果、相手のハイプレスを浴びてボールを失う。これは昨2023シーズンや今季序盤戦にも見られた湘南の悪癖であり、同クラブはまたしてもこのミスを犯している。チーム全体の攻撃配置が悪かったため特定の選手が責められるべき場面ではないが、縦のパスコースが無かった状況を踏まえると鈴木淳之介はL・フェルナンデスに捕捉されていた畑へのパスではなく、自身の斜め後ろに立っていた味方DFキム・ミンテへのバックパスを選択すべきだった。