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サファリラリーでの活躍や、1.3Lモデル、4ドアセダンのソシアル追加
「シャレードってこういうクルマで良かったのか?」
サファリラリーでの活躍や、1.3Lモデル、4ドアセダンのソシアル追加
実際、1リッターDOHCターボの「GT-ti」グレード(1988年のマイナーチェンジで「GT-XX」へ改名)は、ダイハツワークスにとって恒例となったサファリラリーの小排気量クラスで大暴れして、毎年のようにクラス優勝を達成。
それも単に小排気量クラスの中で速いというだけではなく、1993年には総合優勝を含め4台のトヨタ セリカGT-FOURに続く総合5~7位へ食い込むなど、2リッター4WDターボ車を食う活躍でしたから、見事に「リッターカーの枠を超えた活躍」ではありました。
当初セカンドグレードとして用意された「TR」は、先代シャレードターボ以来の1リッターSOHCキャブレターターボから、1988年のマイナーチェンジで電子制御インジェクションの1.3リッターSOHC4バルブ自然吸気エンジンへ更新。
同じ1.3リッターエンジン(およびキャブレター式の廉価版)を積んで独立トランクを持つ、ダイハツオリジナルとしてはコンパーノ(1970年廃止)以来となる4ドアノッチバックセダン、「シャレードソシアル」も1989年に追加されています。
同年に始まった北米輸出では、フェローザ(日本名ロッキー)やハイゼットと並ぶ目玉商品にもなっており、何もかもうまくいけば、同クラスでGMグループでも販売しているスズキ カルタスと並び、ソコソコ売れる要素はあって、高品質化の甲斐があったかもしれません。
日本国内では、日産 マーチやスズキ カルタスよりカッコよく、ホンダ シティ(2代目)より実用性が高いスタイリッシュなリッターカーとして売れていましたから、ダイハツの目論見は当たったかのように見えました。
特にシャレードGt-ti(GT-XX)は、クラスを超えた性能で大物食いもできましたから、軽ターボでは物足らず、普通車では維持費に難があるというユーザーにウケたのが、街でもよく見かけたものです。
「シャレードってこういうクルマで良かったのか?」
ただ、シャレード1300EFIやその4WDモデル、4ドアのシャレードソシアルが出たあたりから、ユーザーの方は「ハテ、シャレードってこういうクルマでいいんだっけ?」という雰囲気が出たように思います。
1リッターDOHCターボ(GT-ti/GT-XX)は特別として、1300EFIはもはやリッターカーではないし、4ドアのシャレードソシアルも、「リッターカー初の4ドアセダン」というものの、積んでいるエンジンは1.3リッターです。
シャレードが本来あるべき姿であり、コンセプト変更でやや置いてけぼりになった感のある1リッター直列3気筒エンジン搭載車は、ガソリンエンジンにせよディーゼルエンジンにせよ、大きく重くなったボディは少々持て余し気味です。
ホンダの2代目シティ(GA1/2型)もそうでしたが、ユーザーが1~1.3リッタークラスに求めるのは結局、「安くて広くて荷物もよく積めて実用性が高く、経済的」、つまり2代目シャレードのようなトールボーイスタイルが正解と言えます。
GT-Ti(GT-XX)もサファリラリーで大活躍したところで、そのために実用性や経済性を置いていってしまっては「過剰品質」であり、シャレードGT系をモチーフにして登場させたラリー漫画「ガッデム!」(新谷かおる)でも、そのあたりをズバリ突いていました。
ラリーで速すぎるクルマより、経済的な働き者であるべきシャレードでしたが、1.3リッター車を追加したあたりから迷走が深まり、シャレードソシアルに1リッター車を設定しなかったことで、決定的になったと言えます。
もし、シャレードソシアルに1リッター車や1リッターディーゼルターボを追加していれば、新たな評価を得られたかもしれませんが、増加した車重に不十分と考えたのか、それは実現しませんでした。