こちらはLOFARで撮影されたポルピュリオーンの観測データです。
中央にポツンと光る点がブラックホールの存在するホスト銀河ですが、ポルピュリオーンのジェットはそれを遥かにはみ出る長さにまで成長していることがわかるでしょう。
ブラックホールにジェットが発生する正確なプロセスについては完全に解明されていませんが、基本的には次のように考えられています。
ブラックホールはその強烈な重力によって周囲のチリやガスを吸い寄せ、周囲に回転する「降着円盤」を作り出します。
降着円盤の中ではチリやガスの激しい摩擦によってプラズマ化しています。電荷を持った粒子が高速で回転している状態になるため、極方向に強力な磁場が発生するのです。
この磁場に沿ってブラックホールに吸い寄せられた物質の一部は、両極方向に吹き飛ばされることになるのです。
ポルピュリオーンのジェットに関しては、ホスト銀河の質量が天の川銀河の約10倍もあるため、周辺から異常な量のチリやガスが供給され続けた結果、ここまで巨大化したのではないかと推測されています。
ポルピュリオーンのジェットの総出力は太陽エネルギーの数兆個分に匹敵するといいます。
しかし一方で、ポルピュリオーンには研究者たちがそろって首を傾げる大きな謎がありました。
それはジェットの巨大さに反して、あまりにも完璧な直線を描いていたことでした。
ポルピュリオーンのジェットが直線すぎる謎
これまでの天文学の常識からすると、ブラックホールジェットは大きくなればなるほど不安定になり、形が曲がったり崩れやすいことが指摘されていました。