そこで新たな研究では、保存用の量子Cを用意し、全体を3つのプロセスにわけて抽出されたエネルギーの保存を試みました。
また実験に当たってはIBMの量子コンピューターが使用されました。
最初の2つのステップは、以前の実験と同じように、量子ビットAと量子ビットBの間に量子もつれが作られ、量子ビットAに観察と同時にエネルギーの注入が行われました。
そして量子ビットBは送られてきた観察結果にもとづいて観測を行い、エネルギーの抽出を試みます。
ただ新たな研究では量子ビットBからエネルギー抽出を行う直前に量子ビットCを特定の方向に回転させておきます。
この操作により量子ビットCはエネルギーを蓄えられる状態に変化します。
そして最後に量子ビットBのエネルギーを収穫し、それを量子ビットCに伝達しました。
結果、量子ビットBに置いたままだとすぐに散逸してしまうエネルギーを、第3の量子ビットCへの保存に成功しました。
研究者たちは今後、同様のテストを量子ビットだけでなく炭素原子を使用して行っていくと述べています。
また将来的には蓄積されたエネルギーを使用して、化学反応を起こすことも目指すとのこと。
あるいは、量子ビットのエネルギーをテレポートさせることで量子ビットの冷却を行ったり、遠隔地にある機体や装置に搭載した量子ビットに外部からエネルギーを送れるようになるかもしれません。
(※ただし情報の通信はビット間にて光速以下で続ける必要があります)
理論を考案した堀田氏も現在、量子エネルギーテレポーテーションで抽出したエネルギーを電力の形で保存、運用する実験を行っており、20年代後半の実現を目指しています。
もし実現すれば、空間を導管として、発電所からエネルギーを車にテレポートさせる量子自動車が実現するかもしれません。