またほとんどの人は、ラフレシアの開花を実際に見たことがありません

なぜなら開花は数日しか続かず、すぐに枯れてしまうからです。

さらにもともと生息域が限られているだけでなく、その個体数も減少しています。

まさにラフレシアは、知名度だけは高い「幻の花」なのです。

ちなみにラフレシアの花言葉は「夢現(ゆめうつつ)」であり、この言葉も「幻の花」を表すにはピッタリだと言えますね。

マレーシア・サラワク州における既知のラフレシア・トゥアンムデの分布と新たに発見された個体群の位置
マレーシア・サラワク州における既知のラフレシア・トゥアンムデの分布と新たに発見された個体群の位置 / Credit:竹内 やよい(国立環境研究所)ら_世界最大の花・ラフレシアの新産地とその生態の解明(2022)

こうした背景にあって、研究チームは、マレーシア・サラワク州ナハ・ジャレー地域を調査しました。

そして、その地域に生息するラフレシアの新たな個体群から、成長過程を明らかにしたのです。

現実のラフレシアのほとんどは「クサイハナ」止まりだった!?

研究チームは、マレーシア・サラワク州ナハ・ジャレー地域で新しく見つかったラフレシア種の個体群を解析しました。

その結果、サラワク州の象徴種であるラフレシア・トゥアンムデ(学名:Rafflesia tuan-mudae)だと判明。

さらに、ラフレシアの成長過程を次のように観測できました。時間の順序は画像のアルファベットに対応しています。

ラフレシア花芽の発達段階
ラフレシア花芽の発達段階 / Credit:竹内 やよい(国立環境研究所)ら_世界最大の花・ラフレシアの新産地とその生態の解明(2022)
  • (a)ラフレシアの花芽はホスト植物の幹上に形成。写真は2.5cmの花芽
  • (b-d)1年かけてゆっくりと成長
  • (e)開花直前には直径25~30cmまで成長
  • (f-g)成熟した花芽は2日程度かけて開花
  • (h)完全な開花が1~2日続く
  • (i)その後急速に腐敗

ラフレシアの花芽の成長は、初期および若年期(直径10cmまで)で非常に遅いものの、開花直前には急激に成長すると判明。