続いて現れた緑の敗色が鮮やかな建物は登録有形文化財の文学部陳列館。1914年の建てられたもので歴史学、考古学など文学部所有の貴重な資料が収蔵されていました。老朽化が激しく今、その機能は隣接した京大総合博物館に移っています。

資料館としての名残は建物の周りに今でも残ります。建物の周辺には京都で出土された石棺などが展示されていますがこれらは新たな博物館に移すことができずそのままこの場所に残されたままになったものです。

キャンパスの北の方に歩を進めると鮮やかな赤煉瓦に白の御影石のアクセントが美しい建物が現れます。こちらは旧土木工学教室本館。1917年に建築家永瀬狂三の設計が設計を手掛けて建築されました。中央の玄関から左右に延びる横長の建物はシンメトリーになっています。当初の建築から徐々に左右に拡張され、1924年に現在の形となっています。完成後今年で100年を経て今もなお総合研究14号館として使われています。

国立大学の建物は古いものが多く、中には老朽化の激しいものもありますが、京大のキャンパスに佇む建物たちは現役で使うのに十分耐えうるものばかりで、歴史と伝統を感じさせる味わい深いものばかりです。

こちらは旧建築学教室本館。現在は総合研究15号館と呼ばれる建物です。設計者は武田五一。ヨーロッパでアールヌーボーなどの最新の芸術を学んだあと帰国し、1920年に新設された京都帝国大学建築学科の創設委員となった人物で、自分が教鞭を振る教室を自分で設計し建築しました。

実は最初に紹介した百周年時計台記念館の設計も武田の手によるもの。エビ茶色のタイルや窓の配置が双方ともよく似ています。正面のカーブした壁面などは当時としてはかなり斬新なデザインだったのではないかと思います。

吉田南キャンパス「学友会館」

吉田キャンパスを堪能したあとは、大きく南に歩を進めてみます。吉田南キャンパスの門衛所も登録有形文化財。周りの校舎は新しくなっていますが、ここの古さが異彩を放っています。