さらに「同決議」は、犯罪行為の捜査だけでなく、損害賠償を果たすための国際的なメカニズムの設置や、国際人道法を構成するジュネーブ諸条約に基づく国際会議の開催も呼びかけた。
付記になるが、この決議において一貫して「違法な存在」という言葉が使われているのは、ICJ勧告的意見を踏襲してのことである。「占領」は、正当な自衛権行使の結果として生まれた場合、必ずしも違法とは言えない可能性がある。しかしイスラエルの長期に渡る事実上の武力による併合である「占領」行為が違法であることが、ICJ勧告的意見で確認された。そのためこの総会決議でも「違法な存在」という概念が用いられている。
どのような説明がなされようとも、安全保障上の懸念があるといったことが言われたとしても、イスラエルのパレスチナ被占領地における存在は違法だ、という趣旨である。
なおこの決議に対して、日本は賛成票を投じた。同じ東アジアのアメリカの同盟国である韓国が棄権に回ったことを考えると、評価できる行動だろう。ただし「法の支配」を尊重する日本の姿勢の一貫性を見せるためには、最低限に必要不可欠な事柄であったとも言える。