■この貨幣だけ明らかに別物すぎる…
違和感の正体は、ズバリ「五円玉」。
五円玉以外の5種類の貨幣では「500」「100」「50」など、その価値を表す算用数字が表示された側に、製造年がセットで記されている。
また表面(年号が無い側)には「日本国 五百円」「日本国 百円」といった具合に、「日本国 ◯円(漢数字)」という法則の元での表記が確認できるのだ。
そのため、つい「算用数字が大きく書かれたほうが裏」「日本国 ◯円」と書かれたほうが表」といったルールを定めたくなるが…五円玉に限っては、これらのルールが全く当てはまらない。
「数字」と「製造年」はそれぞれ反対側に表示され、「日本国」表記とセットで表記されているのは「◯円」でなく、なぜか製造年。そして極め付けに、五円玉のデザインにはそもそも算用数字が採用されておらず…と、デザイン面において、他の貨幣との関連性や法則性があまりに希薄に感じられるのだ。
なお、各貨幣のデザインについて、造幣局担当者は「造幣局の職員が作る場合や、一般の方から図案を募集する場合がありますが、いずれにしても複数のデザインの中から選ばれ、最終的には政府の閣議で決定されます」と説明している。
そして、五円玉のデザインに関しては「1949年(昭和24年)に穴(正式には『孔』と表記)開きの黄銅貨として、『稲、歯車、水』と『双葉』のデザインで誕生しました。その後、1959年(昭和34年)に文字の書体が楷書体からゴシック体へと改正され、現在の5円貨のデザインとなりました」と、詳細を語ってくれたのだ。
担当者は「このように、数字や文字についても、その書体を含めた全てが貨幣デザインの一部であり、5円貨のデザインとして、算用数字の無い現在のものが選ばれました」とも補足していた。