■「読み方」は同じだが…
Sirabee編集部では以前、全国の10〜60代の男女1,000名を対象として「伊藤園の緑茶商品の正式名」に関する選択式のアンケート調査を実施。調査の結果、全体の92.9%が『お〜いお茶』を選択していることが明らかになったのだ。
『お〜いお茶』といえば、日本人であれば誰もが知っている、緑茶ブランド界のエース筆頭。名前を間違える可能性は限りなくゼロに近いはずだが、残る7.1%がどの選択肢を選んだかというと…これらの人々は「おーいお茶」を選択していた。
![日本人の約1割が「お〜いお茶」正式名を誤解していた 50年前のエピソードに思わず感動…](https://cdn.moneytimes.jp/800/443/JzfkxyYIawGOJMqRyRKBbMUgwvdcmxEM/947278d6-1e09-4d96-be6f-d066c1bce5d8.jpg)
「〜」と「ー」の表記が異なるだけで、むしろ声に出す際はどちらかというと「おーい」のほうが正しく感じられる…気もする。しかし、わざわざ「〜」表記を採用しているということは、何らかの意図が込められているに違いない。
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そこで今回は『お〜いお茶』を展開する「株式会社伊藤園」に、同ブランド名に込めた思いについて話を聞いてみることに。その結果、一見「ユルい」印象の強いブランド名に込められた「真っ直ぐな思い」が明らかになったのだ。
■伊藤園、緑茶の救世主だった
まずはブランド名の質問に先駆け、『お〜いお茶』が誕生した背景について尋ねてみることに。
すると、伊藤園担当者は「1970年代、ファストフードやコンビニエンスストア、自動販売機の誕生・普及によって、食の多様化や洋風化が急激に進み、飲料においても炭酸や果汁飲料が伸長するなど例外ではありませんでした」と、約50年前の飲食業界の状態について振り返る。
そして「このような時代に『急須でいれる』という手間のかかる緑茶は、若い世代を中心に日本人の生活から遠ざかりつつありました」と、緑茶が当時直面していた苦境について強調していたのだ。
そうした状況にあって、いや、そうした状況だからこそ、当時の伊藤園は「緑茶をいつでも、どこでも、自然のままの美味しさで多くの人たちに味わって頂きたい」という思いのもと、外でも飲める持ち運びのしやすい「缶入りのお茶」の開発に乗り出していく。
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開発に当たって伊藤園は、原料や加工方法、抽出方法など計67,200通りの試作を行ない、約10年もの歳月をかけたというから、その意気込みが感じられるというものである。
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そして1984年、世界初の緑茶飲料『缶入り煎茶(せんちゃ)』が完成して翌年より発売。89年には『お~いお茶』に名称が変更となり、ここから現在にまで続く『お~いお茶』ブランドの歴史が始まったのだ。
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90年には、これまた緑茶飲料で世界初のペットボトル飲料(1.5L)を発売し、93年に2Lペットボトル製品を販売開始。
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96年には、現在の主流容器である500mlのパーソナルサイズのペットボトル飲料を発売し、これにより「いつでもどこでも」持ち運べる緑茶飲料として、大きく売り上げを伸ばしていくことに。
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2000年には温かい緑茶を楽しめるよう、ホット対応ペットボトル製品を発売。伊藤園担当者は「当時、ホット対応製品を温めるウォーマーを当社から貸与することで、売り場の創造と共にホット対応製品の認知拡大を行ないました」とも補足している。
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現代に生きる我々は、緑茶を「手軽に入手して飲める身近なもの」「あって当たり前のもの」と認識しているが、伊藤園の企業努力がなければ、緑茶は「日本人の日常」から姿を消していたかのもしれない…。