■菊松1曹はなぜ狙われたのか
菊松1曹の階級から鑑み、考えられる教育隊内の役職は、①教育隊の班をまとめる区隊長、②区隊長を補佐する区隊付、③教育隊本部要員の3つ。
射撃のために臨時で支援しにきた隊員の可能性も少しあるが、その場合は男との接点はなく、恨みを買うことは考えにくい。
①教育隊の班をまとめる区隊長の場合区隊の父のような役割で、班長たちをまとめ指導し、候補生たちに対しては基本的に班長を通した間接指導となる。候補生たちの困りごとを聞いたり面談を行ったりするので、恨みは買いにくい。
②区隊長を補佐する区隊付の場合は父である区隊長を支える区隊の母のような存在である。①と同じく候補生たちに対しては基本的に間接指導、時には指導することもある程度である。当然、直接指導する初級陸曹の班長たちほどは恨みを抱くこともないはずだ。
③教育隊本部要員の場合は、教育隊の運営を行う管理要員である。訓練計画を作ったり、物資や武器を管理したり、新隊員では顔と名前が一致しないほど接点は少ない。捜査が進むまでは狙われた理由を断言できないのは勿論だが、教育隊に精通している筆者や周りの幹部でも首を傾げているほど、菊松1曹が狙われた理由は推測が難しい。
菊松1曹が男と指導組織上の関わりがほとんどないにも関わらず狙われたことを考えると、男は弾薬交付所を襲いたかっただけという見方もできる。