陸上自衛隊日野基本射撃場で3人の隊員が死傷した実弾乱射事件で、逮捕された18歳自衛官候補生の男は菊松安親1曹を狙っていたことが分かった。では、なぜ菊松1曹は狙われたのだろうか。

実際に小銃射撃訓練を何度も計画・実行してきた元第10師団幹部の筆者が明らかにしていく。

■狙われたのは弾薬交付所

菊松1曹は弾薬交付所で勤務していた弾薬係であったことが報じられている。左太ももに重傷を負った原悠介3曹も同じく弾薬係で、死亡した八代航佑3曹は待機位置にいる交代係である。

射手は射撃直前に統制のもと弾薬交付所に赴き、弾薬の交付を受ける。交代係は待機位置で箱から実弾を出させ弾倉に込めさせたり、耳栓や服装、銃に不備が無いかを確認させたりする係である。

男の供述により、交代係の八代3曹は間にいたため撃った予定ではなかったと分かっている。