「“白米を美味しく炊く”というのは、日本独特の文化ではないでしょうか。“始めちょろちょろ、中ぱっぱ”という炊き方も、日本独特のものです。
これが大陸の国だったら、甘みを出すために最初からお粥状にする感じで炊きます。白米で炊いたとしても、そのあとにチャーハンにしたり味噌を混ぜたり……。
しかし日本では、美味しい白米を白米のまま食べるという発想が根付いています。その白米の味を邪魔しない程度の薄味の惣菜、それが日本食だと思います」
我々が普段、当然のように受け入れている白米文化。何気ない日常が自然災害により破壊されると、否が応でも「白米の美味しさやありがたみ」を再認識させられます。
魔法のかまどごはんは「災害に対応できるアウトドア用品」としてのみならず、我々が白米文化と共にあることを改めて教えてくれる製品です。
課題に対する解決
村田氏は、前編でも紹介した通り品質管理部門に所属していました。この時代、村田氏は数々のアイディアを具現化して自身で特許を取得していたとのこと。
「スティーブ・ジョブズのように、何もないところから全く新しいモノを作ってしまうようなことは、私にはできないと思ってます。そうではなく、そこにある課題に対して“自分ならこういう対策ができる”という心構えを持っています」
その1つが、「吹きこぼれを防止する内なべ」です。
「高齢のお客様に多いのですが、柔らかいごはんを作るために水を多めに入れるというケースがよくあります。すると当然、水が吹きこぼれてしまいます。そのあたりをお客様にご説明すると、“前のモデルではそんなことはなかった”と言われてしまいます。ですから私は、吹きこぼれが起きにくい塗装を施した内なべを開発し、特許を取りました」
この話題の中で村田氏が強調したのは、「課題に対する解決」です。
「そこにある課題の解決に成功したら、特許を取れるだけの技術力が自ずとついてきます。私は品質管理担当として、お客様に対する課題解決に臨み、結果的に技術者としての爪痕を残すという経験をしてきました」