ロッシュ限界とは、ある天体が重力によって破壊されずに他の天体に接近できる限界の距離のことを指します。

つまり、ロッシュ限界に達してしまった小惑星は、地球の重力によって粉々に引き裂かれてしまったのです。

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地球(黄色)、小惑星(青紫)、ロッシュ限界(白線) / Credit: ja.wikipedia

その後、散り散りになった小惑星の断片は、地球の重力圏に引き寄せられたまま、安定した軌道運動を再開させます。

その結果、小惑星から生まれた無数の断片が地球の赤道外縁を覆うようなリングを形成したのです。

あとは皆さんも容易に想像がつくでしょう。

リングとなって公転する小さな断片が地球の重力に引っ張られ、燃え尽きずに大気圏を突破できたものが、リング直下の赤道付近に次々と落下したわけです。

おそらく、クレーターとして見つかっていないだけで、オルドビス紀当時に海だった赤道付近の場所にもたくさん隕石が落下したと見られます。

さらにチームはこれと別に、”地球リング仮説”を支持する別角度の証拠も見出しました。

オルドビス紀の寒冷化はリングが原因だったのかも?

オルドビス紀は一般に、約4億8830万〜4億4370万年前までを指しますが、その中でも最後の時代を「ヒルナンシアン(Hirnantian)」と呼びます。

ヒルナンシアンは約4億4520万(±140万年)〜4億4380万年前(±150万年)のあたりです。

これまでの研究で、ヒルナンシアンは地球が急激に寒冷化した時代であり、今日から過去5億年間の中で最も寒かった時期の一つだったことがわかっています。

しかしヒルナンシアンに急な寒冷化が起きた理由はいまだによくわかっていません。

ところが、地球の赤道外縁にリングがあったとすると…?

ずばり、研究者らは「リングの存在が赤道上空の太陽光を遮ったことで気候変動を引き起こし、地球の寒冷化が発生した可能性がある」と指摘しました。