その結果、全部で21個のクレーターが見つかったのですが、実に興味深いことに、それらの隕石痕はすべて赤道から緯度30度以内にあったのです。
また当時の大陸は全体の70%以上がその範囲の外側にあり、赤道の緯度30度以内にあった大陸は30%以下でした。
その非常に狭い範囲に絞って、図ったかのように21個すべてのクレーターが見つかったのです。
まるで神様がダーツのブル目がけて矢を放つように、地球の赤道へ向けて隕石を放っているようでした。
この奇妙な現象をどう捉えるべきでしょうか?
まずもって「宇宙のあちこちからランダムに飛来してきた隕石が本当にたまたま赤道付近に落ちただけ」というのは到底考えられません。
しかもオルドビス紀の一時期だけ、隕石が偶然にも地球によく飛んできたというのもおかしな話です。
そこでチームは科学的に妥当性の高い考え方をしました。
それは「オルドビス紀の地球の赤道上空に何かがあった」というものです。
ではその「何か」とはなんでしょうか?
チームが最も可能性の高いものとして導き出した答えが地球のリングでした。
どうやって地球に「リング」ができたのか?
チームの提示した仮説はこうです。
まず、オルドビス紀の地球に向けて、比較的大きめの小惑星が飛来してきました。
小惑星は地球と衝突するコースにはありませんでしたが、地球が放つ重力圏に接触するには十分に近い場所を通りました。
そして小惑星は地球の重力圏につかまり、軌道運動を始めます。
次第に地球の重力に引き寄せられた小惑星は「ロッシュ限界」という境界線に達しました(下図を参照)。