この結果を受けて、研究者は次のようにまとめています。
「私たちの発見は緑地、それも特に樹木環境への暴露とADHD発症率の低下との関連性を示しており、その2つは身体活動の上昇によって媒介されています。
要するに、身体活動を高める自然環境へのアクセスは子供たちの正常な神経発達を手助けする可能性があるのです。
したがって都市設計者は、特に運動不足になりやすい都市部の子供たちの精神衛生を守るためにも、街づくりにおける樹木環境の導入を積極的に推し進めるべきでしょう」
その一方でチームは次のステップとして、樹木環境へのアクセスが神経発達に与える長期的な影響を明らかにしたいと考えています。
今回の調査は、ある時点での子供たちの健康をスナップショット的に捉えた横断的なものであり、それぞれの子供たちを長期的に追跡した縦断的なものではありません。
そのため、樹木環境との触れ合いとADHD予防との関連性をより明確にするには、子供たちを経時的に追跡して、樹木環境の近くでの生活が認知や行動の発達にどのように作用するかを調べる必要があるといいます。
これと別に、近年では成人後にADHDと診断されるケースが増えており、大人もADHDとまったく無縁ではありません。
そこで樹木環境での活動が大人のADHD予防に効果があるのかも明らかにする必要があるでしょう。
なぜADHDの症例数が世界的に急増しているのか?
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参考文献
Tree-covered neighborhoods linked to lower ADHD risk in children
https://www.psypost.org/tree-covered-neighborhoods-linked-to-lower-adhd-risk-in-children/
元論文
Lifelong greenspace exposure and ADHD in Polish children: Role of physical activity and perceived neighbourhood characteristics
https://doi.org/10.1016/j.jenvp.2024.102313