木々の中で遊ばせると、子供がADHDになりにくくなるかもしれません。
ポーランド・ヤギェウォ大学(UJ)は新たな研究で、樹木の多い地域に住んでいる子供は、樹木の少ない地域の子供に比べて、ADHDの有病率が低くなっていることを発見しました。
研究者によると、樹木の豊かな地域では子供がより身体的に活発になっていたという。
そうした運動量の多さが子供の正常な神経発達を促進して、ADHDの発症予防につながっていた可能性が高いとのことです。
研究の詳細は2024年5月4日付で学術誌『Journal of Environmental Psychology』に掲載されています。
目次
- 緑地がADHDの発症を防ぐ?
- 草地じゃなくて「樹木」がADHDの発症を防いでいた⁈
緑地がADHDの発症を防ぐ?
ADHD(注意欠如・多動症)は「不注意」「多動性」「衝動性」の3つを特徴とする発達障害です。
ADHDと診断されるケースの多くは12歳以前の子供であり、世界中の5〜7%の小児がADHDに罹患しているとされています。
ADHDを持つ子供たちは注意散漫になったり、落ち着きがなくなったり、思い立つとすぐに行動してしまったりと、周囲との協調性がなくなり、円滑な社会生活を営むことが困難になります。
研究チームはこれまで、ADHDに関連する遺伝的要因や環境因子を調査し、ADHDの発症を予防する方法を模索してきました。
その中で過去の多くの研究から、緑地(自然環境)との接触がストレスを軽減し、認知機能を高めることで、神経発達に有益な作用をもたらす可能性があることを見出しています。
その一方で、緑地との接触が実際に子供のADHDの発症予防に寄与するのかどうかは依然として不明でした。
そこでチームは今回、自宅周辺の緑地の多さが子供のADHDとどのような関係性を持っているかを調べることにしました。