一方、古細菌は熱水噴火口や高塩分濃度、好酸性濃度など極端な環境にも存在することが知られています。

さらに時間が経過すると、古細菌の一派が酸素呼吸能力を持つ細菌(ミトコンドリア)や光合成能力のある細菌(葉緑体)を飲み込んで、真核生物に進化しました。

他者の能力を取り込むという奇抜な進化方法は生命史に革命的であり、やがて真核生物は多細胞化への道を歩み繁栄を極めます。

実際、平均的な人間が起きてから寝るまでの間に目にする全ての多細胞生物は真核生物であることでしょう。

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真核生物は古細菌をベースに進化しました/Credit:wikipedia

一方、生命には古くからの宿敵としてウイルスが存在していました。

ウイルスの起源も謎に包まれており、元々細胞だったものが退化したとする「退化説」や細胞内部の遺伝情報が連合して実体を持つようになった「細胞内寄生説」、さらには生命よりも前に存在していた前生物的な「自己複製システム」の成れの果てだとする「独立進化説」なども存在します。

ウイルスには感染によって細胞に新たな遺伝子を持ち込み進化を促すといった側面もありますが、多くの生命とっては死をもたらす厄介な存在でした。

そのため現在の私たち人間(真核生物)には対ウイルス防御機構の役割を持つ自然免疫が備えられています。

自然免疫は獲得免疫と違って学習することなしに機能する生まれ持っての免疫機構であり、感染に対して最初に立ち向かう役割を担います。

また興味深いことに、自然免疫は種族ごとにある程度違いがあっても、よく似たタンパク質を使って行われていることが知られています。

これは全ての真核生物が同一の祖先から進化した証拠であり、また祖先の段階で既に自然免疫の仕組みが確立されていたことを示しています。

しかしそうなると気になるのが、いつ真核生物がこの仕組みを手に入れたかです。

ゲームの世界ならば、レベルアップした直後にスキル獲得が行われることもあるでしょうが、現実世界の進化はそんな便利な仕組みではありません。