■フェリックス・ブレアゼール
フェリックス・ブレアゼールは、司祭が葬式で自分について何を語るのか知りたいがために、自分自身のニセ葬儀を5年もの月日を費やして計画した。彼の計画は多くの注目を集め、1938年に執り行われた葬儀には8,000人が参列。ドリンクやホットドッグも売られ、葬儀はまるでお祭り状態だったとか……。フェリックスは、自ら製作した棺桶の横にある椅子に腰かけながら司祭の話に耳を傾けていた。そして葬儀の後には、何百人もの参列者が列を作り、フェリックスと握手を交わしたりサインを求めるなどしたという。フェリックスは、葬儀から5年後の1943年に息を引き取った。その際、彼の意向により、葬儀をあげることはなかったそうだ。
■コン・チャンネグ
カンボジアに暮らすコン・チャンネグは精神病を抱えており、彼の家族は安全のため、外出するときはコンの身体を鎖で繋いでいた。しかしある日、コンは鎖から抜け出し、忽然と姿を消してしまう。周囲の願いも虚しく、数日後には近くの川から腐敗した死体が発見される。家族は死体がコンだと信じ込み、葬儀をあげることに。そして火葬の準備をしていた時――なんと彼らの目の前に、突然コンが姿を現したのだ。その場にいた全員が凍りつき、家族を含め多くの参列者がコンの幽霊だと思い込み、逃げ出したという。しかし、父親がコンに触れたことで彼が本物のコンであることが判明する。それにしても、彼らが火葬しようとしていた死体はいったい誰だったのだろうか……。
■フレデリック・ワード
19世紀のオーストラリアで、“紳士な犯罪者”と呼ばれたフレデリック・ワードも自身の死を偽装した1人だと考えられている。フレデリックは6年間にわたり資産家の家に空き巣に入り、金品を盗む行為を続けていた。1870年のある日、ついに警察に追い込まれたフレデリックは馬に乗って逃走を図るが、最後は銃弾に倒れて死亡したと伝えられた。ところが、彼の家族はこの発表を疑っており、本当に死んだのは叔父のハリー・ワードだったと信じているという。また、フレデリックの葬儀では、黒い服を着て顔を完全に覆い隠した奇妙な女性の姿が目撃されている。彼女の男性的な歩き方から、フレデリックが女装し、葬儀に参列していたのではないかと噂されている。