対外直接投資の効率については、これらの国々は7~9%ですので、自国への投資にはリターンを少なくしていて、他国への投資にはリターンをより多くしている関係と言えそうです。

直接投資による交易条件と捉えれば、アメリカなど他の主要先進国は交易条件が高く、自国に有利な環境と言えそうです。

一方、投資する側(海外)からすると、日本への直接投資は効率が良いという事になりそうです。

日本からすれば、直接投資の交易条件が低下している事になります。

日本は対内直接投資が極端に少ないという特徴がありますね。

リターンをより多くすることで投資しやすくしているという事なのか、とても興味深い傾向です。

3. 直接投資の効率バランス

最後に、2022年の対外直接投資と対内直接投資の効率を1つのグラフに散布図としてまとめてみましょう。

図3 直接投資残高に対する所得の比率OECD統計データより

図3がOECD各国の直接投資残高に対する所得の比率をまとめたグラフです。

横軸が対内直接投資残高に対する投資所得の比率、縦軸が対外直接投資残高に対する投資所得の比率です。

斜めの線が対外直接投資の効率と対内直接投資の効率が1:1となる線です。

この線よりも上に位置すれば、対外直接投資からの所得の比率が対内直接投資からの所得の比率を上回る事になります。

自国に有利な直接投資の環境とも言えます。

イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリア、フランスはどちらの比率も低めですが、対外直接投資からの所得比率の方が上回っています。

他には、イスラエルやトルコ、フィンランド、ギリシャなどが位置しています。

ポーランドは極端に高い水準で興味深いですね。

一方で、オランダ、スイス、韓国は1:1のラインを下回り、やや不利な状況となっています。

日本は先進国の中で最も対内直接投資に対する所得比率が高く、投資に対して最も多くのリターンを支払っている国となります。