直接投資の効率は、直接投資収益の残高に対する割合として表現できます。統計データを基に直接投資効率を計算し、国際比較してみました。
1. 対外直接投資の効率前回は、人口1人あたりの直接投資収益についてご紹介しました。
日本は徐々に上昇傾向が続いていて、近年では主要先進国の中でも直接投資による収益が多い方になるようです。
直接投資は、海外に工場などを作り、事業活動を通じて、本国の本社に配当金などの形で所得を還流するような活動となりますね。
投資の水準となる残高に対してどれだけの所得が得られたかという比率を計算すると、直接投資の効率を見る事ができます。
今回は、対外直接投資、対内直接投資の投資効率について計算した結果をご紹介します。
まずは、主要先進国の対外直接投資についてです。
図1が主要先進国の対外直接投資残高に対する所得(受取)の比率です。
各国とも横ばい傾向が続いていますが、概ね3~10%程度で推移しているようです。
日本は2013年以降やや高めの水準が続いていて、2022年では11%と最も高い比率となっています。
それだけ投資残高に対してのリターンが多いという事になりますね。
2. 対内直接投資の効率続いて、海外から自国への対内直接投資についての効率です。
海外からの投資規模(残高)に対して、海外に支払う所得となります。
図2が対内直接投資残高に対する所得(支払)の比率です。
2012年ころから日本の水準が相対的に高くなり、2014年以降は断トツで高い水準で推移しています。
2022年では16%で、OECD平均値の2倍以上です。
直接投資の活発なスイスで9%、オランダで6%です。
一方、他の主要先進国はアメリカ3%、イギリス3%、カナダ4%、ドイツ4%、フランス5%と日本と比べてかなり低いですね。