この状況を打開しようと、現在中立の諸将を取り込み維持するためには相当の有益性を提供しなければなりませんが、当時の家康にはまだそれがありませんでした。
緒戦の勢いのまま戦況を拡大させても、戦線や戦力を維持することが難しい状況だったのです。
そこから数年のときを経て、家康は後に関ヶ原の戦いに勝利します。
石田三成ら西軍が過去に秀吉から受けた恩や義理、人情によって軍の統率を図ろうとしたのに対し、家康は「どちらに与することにより利があるか、大義があるか」を説いて仲間を増やし、結束を強めていきました。
最後は秀吉から寵愛されていた小早川秀明の家康軍への寝返りによって勝負が決したことを思えば、組織が何によって成り立ち、どう維持していくかの本質を見極めていたからこそ家康が天下を取れたと言えるのではないでしょうか。
本質にのっとった強い組織を作る打って出て勝てる最適なタイミングを図る
そのタイミングが来たときは躊躇なく実行する
そして、その機会を絶対に逸しないための確実に勝てる強い組織づくりを行う
当たり前のようですが、これが、家康が天下を取れた理由です。
現代においては特にこの組織づくりが重要になっています。
正しく勝機を見極めるためには情報収集が必要であり、家康も忍びを囲って情報収集には余念がありませんでした。この時代のトップクラスのアンテナを持っていたことが他大名との差につながりました。
しかし、現代は情報収集がもちろん大切であるものの、情報が伝播するスピードは戦国時代とは比べようもないほど早いので、情報だけで他社を圧倒する差はつきにくくなっています。そうであれば、情報を活かすことができる組織を持っているかどうかがより重要になります。
組織は有益性のつながりによって成り立っています。
これだけを聞くとドライな印象を受けるかもしれませんが、どこまでいってもこれが本質です。
もし今、組織づくりにお困りになっているのであれば、好きか嫌いかではなく、ぜひそこに目を向けて立て直してみていただきたいと思います。