そして頭内爆発音症候群の症状は、このスイッチの切り替えが正常に行われない時に生じると考えられています。
例えば、睡眠への移行の調整がうまくいかず、音に関する神経信号が正しく遮断されなかったり、逆に何らかの誤った信号が送られたりすると、頭の中で異常な音を感じてしまうのです。
またデニス氏は、頭内爆発音症候群を引き起こす他の要因として、生活上のストレスを挙げています。
生活上のストレスが私たちの正常な睡眠パターンを乱し、この乱れが頭内爆発音症候群へと繋がる可能性があるというのです。
いずれにせよ、これらは推測の域を出ていないため、今後、さらなる研究が必要とされています。
そして私たちとしては、原因以外にも頭内爆発音症候群について気になる点がまだ残っています。
それは、「頭内爆発音症候群を経験する人は危険な状態にあるのか」という点です。
頭内爆発音症候群は危険なのか
専門家たちによると、頭内爆発音症候群は、その恐ろしい名前が付いているにも関わらず、無害だと考えられています。
通常、頭内爆発音症候群の症状は短く、痛みも伴いません。
仮に痛みがあったとしてもそれは軽度で一時的なものです。
だからこそ、痛みが長く続いたり、強かったりする場合は、頭内爆発音症候群ではなく他の病気を疑うべきです。
もちろん、「頭内爆発音症候群は無害」だからといって、私たちに恐怖を与えないわけではありません。
前述したデニス氏らの2020年の研究では、頭内爆発音症候群を経験した3000人以上のうち、45%が「中程度~重度の恐怖を感じている」と報告しています。
また音だけでなく強い痛みが伴う稀なケースでは、人々の恐怖がより高まることも分かっています。
1度ショッキングな体験をした人は、「同じ経験はしたくない」と恐怖と不安に襲われるかもしれません。
ただ残念なことに、頭内爆発音症候群の治療法や対策は確立されていません。