奇病とされるような変わった症状は、世の中にたくさん存在しますが、これは特に奇妙かもしれません。

「頭内爆発音症候群(とうないばくはつおんしょうこうぐん)」は眠りに落ちる寸前、頭の中で爆弾が爆発したような音が聞こえる、という睡眠障害の一種です。

原因を含む症状の多くの部分が未だ未解明の病気ですが、今回はこの症状について現段階で分かっていることを紹介します。

ちなみに比較的最近では、イギリスのヨーク大学(University of York)に所属するダン・デニス氏ら研究チームが、頭内爆発音症候群についての研究(2020年)を発表しています。

目次

  • 「頭内爆発音症候群」とは
  • 「頭の中で爆発音が生じる」のはどうして?
  • 頭内爆発音症候群は危険なのか

「頭内爆発音症候群」とは

頭内爆発音症候群(EHS:Exploding head syndrome)は、寝入る直前や目覚めた直後に短時間の大きな幻聴が発生する症状を指します。

これは睡眠障害の一種である「睡眠時随伴症」に分類されており、睡眠麻痺や悪夢などと同じく「睡眠に関連する異常行動・好ましくない体験」の1つだと考えられています。

頭内爆発音症候群の典型的な症状としては、「寝入る直前(覚醒から睡眠への移行中)に、大きな音が聞こえたり、頭の中で爆発するような感覚が生じたりする」というものです。

聞こえる音は様々で、この幻聴を体験した人は、その音を「爆発音」「銃声」「ドアがバタンと閉まる音」「叫び声」などと表現します。

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入眠時に爆発音や叫び声が聞こえる。外部音源はなく幻聴 / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

共通する点は、その音が常に短く(数秒以下)、非常に大きいということです。

また幻聴なので、周囲には明らかな外部音源が存在しません。

そして、頭内爆発音症候群を経験した人の中には、音と共に「閃光が見える」などといった一時的な視覚障害(幻視)を報告する人もいます。