高市早苗氏は、「自民党で処分が決まっている。非公認を含めて党内で積み重ねてきた議論を、総裁が代わったからと言ってちゃぶ台返しをしたら独裁」などと言って、裏金議員への対応を見直す余地は全くないと断言したが、それ以外の総裁選候補者の多くは、「不記載議員には説明責任を果たさせる」或いは「説明責任を尽くしたかどうか見極める」ということを述べた。

問題は、その「説明責任」の中身である。

今回の「裏金問題」で、なぜ国民が強烈に反発し、怒ったのか、それは、自民党の多くの議員が、政治資金として収支報告書で公開もしない「裏金」を得ていたことが発覚したのに、刑事処罰を受けないどころか、納税すらしないで済まされていることに対する納税者としての強い憤りである。

政治資金として公開しない「裏金」というのは、個人が自由に使える、ということであり、一般の国民がそのようなお金を得ていたことがわかれば、間違いなく所得税の納税をさせられる。場合によっては、追徴税、重加算税まで課せられる。

ところが、「裏金議員」は、「政治資金の収支報告書への不記載に過ぎなかった」と弁解して収支報告書を訂正し、何のお咎めもなし、ということになっている。そのことに国民は怒っているのである。SNS上に「裏金議員」に関して「脱税」「泥棒」などという言葉が飛び交っているのもそのためである。

岸田首相は、「検察が法と証拠に基づいて厳正に捜査処分を行った」と強調するが、その検察の処分にも多くの国民が疑念を持っている。私も、現在の「裏金事件」をめぐる混乱の最大の原因が検察の誤った捜査・処分であることを再三指摘してきた(【「裏金議員・納税拒否」、「岸田首相・開き直り」は、「検察の捜査処分の誤り」が根本原因!】)。

そのような現状において、国民の納得を得るために、自民党総裁として、「裏金議員」に求めるべき説明というのは、どういうものなのか。

重要な点は、「①なぜ、どのような認識で収支報告書に記載しない金を受け取ったのか」「②それをどのように管理していたのか」「③どのような用途に使ったのか」「④未使用金はどうしようと思っていたのか」である。