その内容を要約すると、

「軍隊の腐敗はもっとも危険なものである。軍隊が腐敗を容認すれば、失敗を容認することになる。戦争に負けた結果について歴史は血の涙で語ってきた。腐敗が原因で敗れた軍隊は永遠に恥辱の柱に打ちつけられるであろう」

「第18回党大会以来、党中央、中央軍事委員会および習近平主席は厳格に軍を管理し、腐敗撲滅に力を入れ、『虎もハエもたたく』方針を実行し、谷俊山人民解放軍総後勤部前副部長を逮捕する一方、腐敗反対の計画をしっかり立て、作風を改め制度を厳格に実施し、腐敗を生む土壌の除去に努めてきた。幹部が地位を利用して住宅を買い占めることをなくし、公用車や会議を減らし、行政にともなう支出を大幅に減少させてきた」、

「腐敗したものをつまみだせば軍はさらに純潔になり、強くなる。軍隊内に腐敗分子が隠れるところを残してはならない」

などと強調した。

この腐敗体質について、専門家は、「中国では1970年代に経済の自由化が始まってから、軍において長年、汚職が問題になってきた」と指摘する。

中国は2024年度の国防予算を約1兆6,655億元(34兆8,000億円)と発表しており、これは前年度予算額から約7.2%の伸びとなる。中国の国防予算は、1989年度から2015年度までほぼ毎年2桁の伸び率を記録する急速なペースで増加してきた。国防予算の名目上の規模は、1993年度から30年間で約37倍、2013年度から10年間で約2.2倍となっている。

最近の不動産不況など中国経済の低迷が続く中、2024年度の国防予算は昨年度と同水準であり、軍備を増強する姿勢に変化はない。中国の国防予算の特徴は、その透明性の欠如にあり、公表される国防費には、外国からの装備品購入や研究開発費、人件費の一部などは含まれておらず、腐敗の温床になっていると指摘されている。

習近平氏が7大軍区を5大戦区に編成替えし、それまで強い権力を握っていた将軍たちの力を削ぐ大改革を実施した理由は、まさに腐敗体質の一掃にあったのだ。だが、これほどの大鉈を振るったにもかかわらず、腐敗はやむことなく深く潜在していた。

習近平氏の側近たちの裏切り