またウナギの脱出過程を詳細に分析した結果、一定のパターンをとることが明らかになりました。

たとえば完全に胃の中に入ってしまった11匹のケース(32匹中11匹)を調べると、ウナギたちはまず胃の中を出口(食道)を求めるように胃壁に沿ってグルグル動き回る行動を示しました。

そして11匹中5匹(45.7%)は食道部分に尾を挿入する段階に移行できたことが確認できました。

ただ11匹中2匹では「誤った出口」、つまり腸に向かって進んでしまいました。

また食べられたあとの時間的猶予はおよそ3分半までであり、それまでに脱出できなかったウナギは全て死んでしまいまうことがわかりました。

以上の結果から、ウナギの稚魚が胃から脱出するには、いくつかの関門がある可能性が示されました。

1つ目は胃のなかで正しい方の出口(腸ではなく食道)を探し当てること、そして2つ目はエラから逃げ出す段階で、捕食者の抵抗を振り払い完全に抜け出すまで粘ることです。

研究者は今後、他の魚類でも同様の方法を使って脱出を行っているかを調べたいと述べています。

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元論文

How Japanese eels escape from the stomach of a predatory fish
https://doi.org/10.1016/j.cub.2024.07.023

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部