スイスの政党「緑の自由党」(GLP)の政治家サニヤ・アメティ氏は9日、チューリッヒ州の党幹部を辞任した。チューリッヒ市議会議員でもある同女史は「聖母マリアと幼子イエス」が描かれた画像を美術カタログから取り出し、それを標的に射撃、その行動を自身のインスタグラムに投稿した。この行動が報じられると、宗教界で大きな憤りを巻き起こした。バチカンニュース(独語版)が9日、報じた。
投稿には、聖母マリアとその子供の頭部に穴が開いた画像が含まれており、これが激しい批判の的となった。ロシア国営放送局RT、ルーマニアのナショナリスト、そしてアメリカのカトリック団体などがこの投稿のスクリーンショットを拡散した。
GLP自身もアメティ女史の行動を非難した。チューリッヒGLP党首のベアト・リューフェナハト氏は、アメティ女史が「相互の合意の上で」党幹部を辞任したことを確認した。同女史は、州党幹部で広報やキャンペーンを担当しており、現在もチューリッヒ市議会に議席を持っている。
また、アメティ氏が共同代表を務めるリベラルな団体「オペレーション・リベロ」は、SNSプラットフォームXで「彼女の行動は間違っており、不適切だった」とコメントしている。
アメティ氏自身は新聞「ブリック」に対して「本当に愚かな行動だった。何も考えずにやってしまった。心からお詫びする。この行動で傷ついた方々に許しを請いたい」と述べている。同氏は自身のインスタグラムを閉鎖した。
以上、「聖母マリアと幼子」の画像への射撃事件は幕を閉じたが、事件は深刻な問題を私たちに提示している。チューリッヒのカトリック大学コミュニティの責任者であるイエズス会士フランツ=ザヴァー・ヒースタンド氏は政治家の行為に対し、「行動自体だけでなく、宗教的なシンボルに対するこのような無礼が許される環境にも問題がある」と批判し、「アメティ女史がキリスト教のシンボルの意味に対して考えられないほどの無知を露呈した」と述べ、社会における宗教の価値や宗教的シンボルの役割について深い議論の必要性を強調した。