書簡の主張を見てみましょう。

今年1月に国際司法裁判所(ICJ)はイスラエルに対し、ガザ地区でジェノサイド(大量虐殺)を防止するためにあらゆる措置を講じるよう命じています。

ICJはイスラエルによる攻撃がジェノサイドだと判定したわけではありませんが、書簡の署名者らは政府がイスラエルに武器輸出を続行すれば、「英国はジェノサイドに加担するあるいは国際的な人道法に違反する」可能性があると警告しました。

スナク首相率いる保守党政府は武器輸出について見直しを行っていると表明しましたが、即時停止には慎重でした。4月5日、今度は国連の人権理事会がガザ地区での停戦やイスラエルの武器売却停止などを求める決議を採択しました。

どこの国が最もイスラエルに武器輸出をしているのか

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の調べによると、2019~23年にイスラエルが輸入した武器の69%が米国からのもので、これに続いたのがドイツ(30%)、イタリア(0.9%)です。

米国がどう動くかで、ガザ・イスラエル戦争の行方が大きく変わる可能性があることが、これを見ただけでもわかりますね。

一方、イスラエル自身も武器輸出を行っており、輸入した国は上位からインド(全体の37%)、フィリピン(12%)、米国(8.7%)です。

英国のイスラエルへの武器輸出の総額は2022年に4200万ポンド(約80億円)で、「比較的少額」(政府官僚)といわれています。でも、非営利組織「武器取引反対キャンペーン」(CAAT)によると、2008年以降、英政府がイスラエル向けに輸出承認をした武器は5億7400万ポンド(約1100億円)に上ると推定されています(イスラエルへの武器輸出の内訳は以下のグラフの「15」を参照)。

(SIPRIの報告書による)(文書からキャプチャー)

ちなみに、日本「6」を見ると、米国からの輸入が全体の97%を占めており、依存度の高さが分かります。