たとえば量子生物学により、葉緑体が量子的重ね合わせを使って光合成を効率化していることが明らかにされています。

光合成の過程に量子的重ね合わせを導入することで、エネルギーが複数の回路を同時に通過して同時に反応を回すことで、効率的に栄養成分を生成することが可能になります。

また細胞で行われる酵素反応などでは、量子トンネル効果によって粒子がエネルギー障壁を飛び越え、化学反応のコストを節約していると考えられています。

ミトコンドリアによるエネルギー生産でも、量子トンネル効果が使われていると考えている研究者たちもいます。

さらに動物の嗅覚の仕組みも量子現象が組み込まれており、匂い分子が受容体に結合したとき、分子の振動エネルギーが電子を量子トンネル効果で受容体間に移動させることで、特定の匂いを認識するという仮説が提唱されています。

量子意識理論はその名前から嫌煙する人もいますが、要はさまざまな細胞で起きている量子現象が脳細胞でも起きている可能性、そしてその量子現象が意識の形成にも影響している可能性について考えるものと言えます。

では、具体的にニューロンのどの場所で意識に関わる量子現象が起きているのでしょうか?

量子現象の「巣」を保護すると麻酔に抵抗できる

ニューロンのどこで量子現象が起きているのか?

量子意識理論では伝統的に、その場所が微小管であると考えられています。

微小管とは細胞の内部に張り巡らされている細い繊維であり、細胞の骨格として、細胞の形を保つ手助けを行っています。

また細胞分裂時には、複製したDNAの塊である染色体を、それぞれの娘細胞の元に引っ張っていくなど動的な役割を果たしています。

量子意識理論では、この微小管内部で量子的重ね合わせが発生する場であると共に、量子的重ね合わせが崩壊しないように保護する保護機構としても機能すると考えられています。

量子意識理論では、この微小管が量子的な情報処理機構として機能し、意識は量子状態が崩壊する瞬間に生成されるとしています。