孤立することのデメリット(抑うつ傾向や幸福感の欠如)は以前からよく知られています。

一方で、「人付き合いが煩わしい」「他者との関わりが疲れてしまう」という理由で、独りでいることを好む人は少なくありません。

そのような孤立を求める人は、なんとなく「孤立の悪影響をそこまで強く受けない」と感じているかもしれません。

しかし、東京都健康長寿医療センター研究所の桜井良太氏ら研究チームは、「独りでいることを好む人」でも孤立の悪影響は緩和されない可能性があると報告しました。

研究の詳細は、2024年8月12日付の学術誌『Journal of Affective Disorders』に掲載されました。

目次

  • 独りを好む人々
  • 独り好きでも孤立の悪影響は緩和されない

独りを好む人々

一般的に、他者との交流には、ストレスや孤独感の軽減、自己肯定感の向上、感情の共有によって得られる安心感など、様々なメリットがあります。

そして孤立すること(社会的孤立状態)は、ただそれらのメリットが得られないだけではありません。

幸福感や感情が薄れ、悩みや抑うつ傾向、寂しさを強く感じるなど、精神的健康に悪影響を及ぼすことが分かっています。

画像
「独り好き」な人は少なくない。そのような人は孤立に伴う問題が小さくなるのか? / Credit:Canva

しかし、「独りでいることを好む人」は決して少なくありません。

自分が「独り好き」である場合や、家族や周囲の人がそうであるケースもあるでしょう。

そのように独りでいることを好む人の中には、「他人に対して人一倍気を使ってしまう」「過去に人間関係のトラブルがあった」「他人とのかかわりが煩わしくなった」「自分の趣味に没頭したい」という人たちがいることでしょう。

だからこそ、「誰かと接して疲れてしまうよりは、自分一人の方が楽だ」と感じるのかもしれません。

そして、なんとなく「自分は独りでいることが好きだから、孤立の悪影響は受けにくいだろう」とも感じているかもしれません。