ガソリンエンジンの点火はピストンの上下位置と他の気筒との位置関係によってタイミングが決まっており、適切なタイミングで瞬時に点火しなければエンジンの性能を発揮できません。
そのためには点火タイミングをコントロールする電子制御装置や、放電によって消耗していくスパークプラグの状態が重要となってきます。
特にスパークプラグは定期的に交換が必要な部品であり、交換が遅れると火花が出にくくなったり点火不良につながるため、良い火花を発生させるためにはスパークプラグの状態が最も重要です。
良い圧縮とは
「良い圧縮」とはピストンによる圧縮を十分におこなえる状態で、エンジンのシリンダー内部に圧縮ガスをしっかり留めておける状態です。
ガソリンエンジンは空気とガソリンの混合気に点火して爆発させますが、その際空気を圧縮することでより高いエネルギーを生み出します。
エンジン内部には円筒形のシリンダーとその中を上下移動するピストンがありますが、ピストンでシリンダー内の空気を体積比で10分の1前後まで圧縮しています。
これを圧縮比と呼びますが、圧縮比はバイクによって8〜14と結構幅があるもので、バイクの性能や燃費、パワーなどの設計によって変化します。
ピストンでシリンダー内部の空気を圧縮すると高い圧力が発生しますが、空気がわずかでも抜けると圧縮の意味がないため、ピストン周辺にあるピストンリングや、シリンダー上部にあるバルブなどで密閉状態を作り出しています。
しかし経年劣化などによってピストンリングのシール性が悪化したり、バルブに堆積物が付着したりするとガス抜けが起こることがあり、またエンジンオイルの状態によっても圧縮が十分におこなえない状態になります。
そうなるとエンジンの出力やトルクが悪化したり、抜けたガスや水分によってエンジンオイルが劣化するなど悪影響が出てきますので、長い期間乗ったバイクのエンジンはメンテナンスによってシール性を取り戻すことで良い圧縮の状態にすることができます。