量より質に目覚めただけならば、限られた交友関係も中身の入れ替わりが起きるはずですが、実際には人員の固定化が進行してしまいます。
老人に新しい親友ができないわけではありませんが、若い頃にくらべてその頻度は著しく低下しています。
このような変化は「加齢による行動変化」の一種として知られており、どの文化や宗教に属するかにかかわらず、人間全体にみられる現象として知られています。
ただこのような加齢による行動変化が巨大な脳を持つ人間特有のものであるか、あるいは他の種にも当てはまる共通現象であるのかは、不明なままでした。
そこで今回、テルアビブ大学の研究者たちは、比較的長命な鳥類として知られるシロエリハゲワシを観察することで、加齢による行動変化がハゲワシたちにも現れるかを調べることにしました。
ハゲワシも老化により行動パターンと友達が固定化する
他の種にも人間のような加齢による行動変化が現れるのか?
調査を行うにあたり研究者たちは、長年にわたりGPSで位置が特定されてきたシロエリハゲワシのデータに着目しました。
シロエリハゲワシは15年以上もの比較的長い寿命を持ち、高い社会性を持つ鳥類として知られています。
テルアビブ大学があるイスラエルにおいてシロエリハゲワシは保護の対象となっており、15年間に渡り生息数の3分の2に及ぶ142匹についての移動データが保存されていました。
研究者たちはこのデータを分析することで、年齢を重ねたハゲワシたちにどのような変化が起こるかを調べることにしました。
「位置データだけで何が解るのか?」と疑問に思うかもしれません。
しかしそこはハゲワシたちの生態を知れば納得できるでしょう。
シロエリハゲワシたちは死骸を見つけると、その近くにねぐらを陣取り、数日間にわけて餌を食べ続けます。